生成AIは、クリエイターの作業を一変させる強力なツールです。しかし、「仕事で使って大丈夫?」「著作権は?」といった不安を感じる方も多いでしょう。
この記事では、クリエイティブ業界の二大巨頭であるOpenAI(ChatGPT、DALL-Eなど)Adobe Fireflyについて、最新の利用規約に基づき、商用利用の可否と、初心者が絶対に知っておくべき注意点をわかりやすく解説します。
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1. Adobe Fireflyの商用利用:安全性と権利の尊重
結論:原則、安心して商用利用できます。
Adobe Fireflyは、生成AIを使用してクリエイティブワークフローを改善するウェブアプリケーションおよびアドビ製品内の機能です。アドビは、Fireflyを「業界で最もクリエイターのことを考えた生成AIソリューション」として位置づけています。
Fireflyで生成された出力は、原則として商用プロジェクトで使用できます。ベータ版の機能も、製品内で特に明記されていない限り、商用利用が可能です。
クリエイターが安心できる3つの設計
Fireflyファミリーのモデルは、安心して商用利用できるように設計され、著作権や知的財産権を侵害するコンテンツを生成しないよう開発されています。
1. トレーニングデータが安全
◦ Fireflyのトレーニングには、Adobe Stockなどのライセンスされたコンテンツや、著作権の有効期限が切れたパブリックドメインのコンテンツのみが使用されています。
◦ Creative Cloudサブスクライバーの個人コンテンツはトレーニングに自動的に使用されません。
◦ ウェブから無断でマイニングしたコンテンツがトレーニングに使用されることもありません。
2. 制作物の所有権はあなたに
◦ Fireflyを使って作成したコンテンツを含め、お客様のコンテンツの所有権をアドビが主張することはありません。
3. 透明性の確保(Content Credentials)
◦ デジタルアセットに、AIツールが使用されたことを示す「Content Credentials(コンテンツ認証情報)」が特定の種類の書き出しの場合に自動的に自動的に適用されます。これにより、アセットに関する有用な情報が提供され、受け取る側が信頼性を判断しやすくなります。
注意点:法的な著作権保護について
生成AIに関する法律は、今まさに世界中でどんどん変わってきています。
たとえば、Fireflyで作った画像や作品に「著作権」がつくのかどうかは、国や地域ごとにルールが違う場合があります。
そのため「自分が作った作品を著作権で守れるのか」をきちんと確認したい場合は、お住まいの地域の専門家や弁護士(知的財産・著作権に強い弁護士)に相談することをおすすめします。
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2. オープンAI(ChatGPT、DALL-Eなど)の商用利用の可否と注意点
結論:規約を守れば商用利用は可能。ただし、最終責任はユーザーです。
ChatGPTは2025年10月現在、OpenAIの利用規約に従えば商用利用が可能です。GPT-5やSora2などの最新モデルの登場により、画像生成や動画生成も可能になり、活用範囲が拡大しています。
しかし、商用利用でトラブルが起こった際の責任は、ユーザーに帰属します。以下の6点のリスク対策を必ず行ってください。
初心者クリエイターが注意すべき6つの重要ポイント
① 著作権侵害のリスク確認が必須
生成コンテンツの著作権はOpenAIからユーザーに譲渡されますが、以下のケースではリスクがあります。
• 入力データへの注意: 著作権のある画像などをインプットデータとして使用した場合。
• 出力コンテンツの確認: 生成された文章や画像が、既存の著作物と類似している場合。
DALL-E3は著作権侵害を回避するよう設計されていますが、完全ではないため、入出力コンテンツの両方について、著作権侵害のリスクがないか十分に確認することが求められます。
② 入力データはAI学習に使用される可能性がある
ChatGPTに入力した情報は機械学習に使われる可能性があるため、企業機密や個人情報の取り扱いに注意が必要です。
• 対策: 企業で安全に利用するためには、入力データが学習に使用されないことが保証されているChatGPT Businessプラン(旧:Team)オプトアウト(学習に使用しない設定)を行うことが推奨されます。
③ ハルシネーション(誤情報)への対策
AIは誤情報や偏った情報(ハルシネーション)を生成する可能性があります。
• 最新のGPT-5ではThinkingモードやDeep Research機能によりハルシネーションが削減されていますが、AIの利便性を活用するためには、人間による最終確認(ファクトチェック)が欠かせません。
④ AIによる生成物であることの明記義務
OpenAIの利用規約では、AIが作ったコンテンツを人が作ったかのように見せかける行為は禁止されています。
• 商用利用の際は、そのコンテンツがAIによって作成されたことを適切に明記する必要があります。公開されるコンテンツの最終的な責任は利用者にあります。
⑤ 最新の利用規約の確認と専門分野の制限
OpenAIの利用規約は定期的に更新されています。特に以下の分野では利用が制限されています。
• 専門知識が必要な分野: 医療、金融、法律などの分野で、有資格者が情報を確認せずにアドバイスを提供したり、病状の診断などを行ったりすることは禁止されています。
• 動画生成(Sora2): ディープフェイクや誤情報拡散目的での動画生成は禁止されています。
⑥ モデル名やロゴの使用範囲
OpenAIのブランドガイドラインにより、「〇〇GPT」という名称を製品名やアプリ名に使用することは禁止されています。商用製品やサービスでロゴを使用する場合も、ガイドラインに従う必要があります。
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まとめ:安全なAI活用に向けて
Adobe Fireflyは、トレーニングデータの安全性を重視し、クリエイターの権利を尊重する設計により、安心して商用利用できる基盤を提供しています。
一方、OpenAI製品は高度な機能を持つ反面、商用利用においては著作権、データ保護、正確性に関してユーザー自身が責任を持って確認し、最新の規約を遵守することが求められます。
それぞれのAIツールの特性と規約を理解し、安全かつ効果的にクリエイティブな活動に活かしていきましょう。

さまざまな種類の生成AIがありますが、商用利用の可否など利用規約はツールごとに異なります。必ず一度は公式ページで確認する習慣を持ちましょう。最終的な利用にあたっては、ご自身の責任で判断することが大切です。
